フルールブログ

BARフルールドゥリス

お忙しい中、見学案内してくださった蔵元の皆様に感謝申し上げます。


宇都宮を北東に進むと、
鬼怒川やさくら市へ繋がる白沢街道が走ります。

水車の回る、白沢宿。
昔はここで、洗濯や芋洗いをしていたとのこと。

「沢・川・水」の付く地名は、水に縁があり、
宇都宮の水も、この白沢から来ているとのお話でした。

上水道について調べてみると、
白沢浄水場は宇都宮市にある3つの浄水場のうちの1つ。
規模が大きく、水源が川でないのが特長です。
10ヶ所の井戸から取水し、
1日6万㎥の水を処理する能力があるようです。

その水を普段飲んでいるのか、宇都宮市内の経路までは分かりません。
日光市瀬川に「水道資料館」があるようです。いつか寄ろう。
IMG_4158



井上社長に案内頂き、
製品完成現場から見学スタートです。
商品ラベルを手貼りしています。
IMG_4163
斜めに貼るときは体も斜め。
IMG_4161
ラベル貼りのツールは、UVカット蛍光灯。
紫外線を防いで、作業者の目の健康と、お酒の品質を守ります。
IMG_4170
木箱に蛍光灯をセットして、スイッチON。
IMG_4169
全3台。井上社長の自作だそうです。
ゴミが混入していないかチェックも兼ねます。
IMG_4168
もとは澤姫の木箱なんですね。
IMG_4172
ラベル作業と同じ部屋に、洗瓶が並んでいます。
瓶詰めと、ラベル貼り作業は、一連托生のようです。
IMG_4173
瓶詰め後、ライトアップして、異物をチェックします。
まさに最終工程。
IMG_4162

さて、外へ出て、こちらはリユース場です。
回収した一升瓶を、80℃のアルカリ水で洗浄します。
ラベルが綺麗に剥がれたところで、お湯で洗浄。
IMG_4181
そうして出来上がったツルツルの一升瓶。
温かいよ、触ってみて。
IMG_4177

それでは、いよいよ蔵内に進みます。
IMG_4182
驚いたのは、ブロック壁なこと。
IMG_4184
くりぬくのに厚みがあって、電鋸刃が3本折れたという配線の穴。
IMG_4186
大きなボイラー釜の、蓋を開けてくれました。
IMG_4192

2階へ。
IMG_4193
現れた、美しい麹室。
2階に麹室があるのは、初めてです。
IMG_4194
さらにその上を、天井裏にしている、ワクワク感。
IMG_4195
換気の天窓も発見。
IMG_4196
さて、麹室に入るため、まずは手洗い。
手洗いはトリプル消毒。
これで余計な酸度が減るそうです。
「酒質が軽いと、もう一杯続く酒になる」それが澤姫とのこと。
IMG_4197
麹室入口。
右に棚室、正面に床室。
IMG_4198
左手を向くと出麹室。
IMG_4201
棚室。ここにMax100kgの麹米が入ります。
IMG_4208
まずは容器2/3を使った厚みで、30℃に。
35-6℃で全体に薄く広げます。

40℃以上の温度では、アミラーゼが働き、スッキリとした酒に。
35-40℃ではプロテアーゼが働き、濃厚な酒に仕上がるそう。

麹の温度は、味に反映するので非常に重要です。

床室に進むと1台のベッドが。
外が氷点下でも、中は30-40℃に保たれています。
IMG_4202
また、湿度は常に40%以下を保ちます。

湿度13%なら、室温38℃でも、汗はかかないそう。
その代わり、2時間で喉が枯れるそうです。

現在、湿度22%、室温30.3℃。
「水打ちする蔵もあるけれど、うちは乾燥させる」と強調。
IMG_4203
そこから続く、奥の吟醸室は、とても小さい。
こんなに小さいとは。澤姫はここから生まれて大きくなります。
IMG_4204


麹室は、杜氏を中心に一部の蔵人しか入れない作業場。
今回は作業が終わっていたので案内してくれましたが、
作業時は、外の窓から見学します。
この見学窓だけでも、結露しないよう入念に施工したそうです。
IMG_4210
麹菌。通称もやしをお披露目。
IMG_4213
IMG_4214
うぐいす色?
苔色?
草色?と表現を探したら、

「きくじん色」というのが存在した。
15
さておき。

こんな風に菌が出ますよ。
IMG_4215
IMG_4216
実際は、この布を通して振ります。
ベンベルグ。古布と呼んでいるそう。
IMG_4218
このプリンカップにもやしを入れて、
古布をかけ、輪ゴムで止めて、振ります。
IMG_4219
プラスチックは、陶器のように冷えて結露しない点で優れ、
プリンカップは、端がL字型なので輪ゴムを留めるのにちょうど良いとか。
見学に来た、同業の方が欲しがるそうです。
秀逸な大人の工作です。

作業着は長袖。麹室のみ半袖。
作業はいつも4名で行うそうです。
IMG_4227
IMG_4230
IMG_4235

台に積まれた、古いラベル。
IMG_4222
ラベルを保存する箱は、どうやら活性炭の箱。
澤姫をろ過していた時代があったそうです。

昔のラベルには、醸造用糖類という、今は見かけない原料の表記。
国税の3割が酒税だった時代、日本酒が盛んだった時代が、あったと伺います。
四季桜の菊地社長の名台詞「税を通した社会貢献」が思い出されつつ。
IMG_4224


こちらはアルファベット表記の「SAWAHIME」アル添酒。
現在のアルコール添加は、原料の1/10量と決まっているそうです。
IMG_4225

今では安全に飲めて当たり前ですが、メタノール検出なしの表記も。
メタノールは体内で処理できません。
IMG_4226
こうしたラベルは現在1ロット40万円程するそうです。
「市町村合併は、酒屋に痛手・印刷屋に儲け」と、井上社長の漫談尽きず。

1階に戻って、洗米機「スパイラル吟洗号」を案内されます。
初めて名前を認識しました。
糠が気泡に張り付いて、洗米できると伺いました。
IMG_4240
挨拶した瞬間から気づいてはいたのですが、井上社長は、マイペース&ハイペース。
そして、相手に合わせて話を簡易にするのではなく、ご自身の理解度で詳細に話してくれます。
ずっとトップギアなので、全力で聞くことになりました。
とにかくエネルギッシュ。
IMG_4247
洗米は短いほどいい。
自ら作った、吸水早見表。
IMG_4244
その頭上に時計。!?
IMG_4243
洗米専用の時計が欲しいと考案した、カスタム時計。
秒針を赤く染めて、先を大きく見やすくしました。
「Sawahime」サイン入り。
またしても、大人の工作です。
IMG_4242

さて、ここから建物は木造と漆喰に。
造りと貯蔵のエリアです。
IMG_4237
「真・地酒宣言」をうたう通り、栃木の酒米だけで醸造しています。
「ひとごこち」という品種は、長野と栃木、山梨の一部で栽培されています。
澤姫が「ひとごこち」使い始めてから、栃木での生産量は17倍になったそう。
「農家さんの指標となって、自信を付けてもらえる」と語ってくれました。
精米は依託で、山形県へ輸送して行います。
IMG_4248
蔵人のための細い足場。人の背より高く、まるで平均台のよう。
IMG_4250
ここは特別な発酵室です。
寒〜い部屋に置かれた、発酵タンク。
IMG_4253
作業に最も良いのは12-2月の5℃前後の時間帯。
その作業時間を長くするため、寒い部屋を作ったそうです。
サーマルタンクはありませんが、「寒い方がいい」と強調していました。
IMG_4255
IMG_4260
色んな子たちが生きてる!
IMG_4261
IMG_4265
IMG_4266
まだまだタンクを見ます。
IMG_4272

IMG_4273
IMG_4276
IMG_4277
IMG_4278
そして、試飲!
IMG_4280
酒蔵って、聖職かしら。。。
外の世界が、切り取られて見える窓。
IMG_4281
瓶詰めしたお酒を貯蔵する貯蔵庫。寒さ徹底。
IMG_4285
見学も終わり、
2日後に発売する、澤姫エピソードの載った日本酒漫画を拝読。
IMG_4287
そして試飲開始!
注いでもらえて嬉しい。
IMG_4289
ここからセルフで。
IMG_4291
生原酒。
IMG_4293
IMG_4295
IMG_4299
IMG_4301
生原酒シールのあるものと、そうでないもの、飲み比べ。
IMG_4303
IMG_4306
IMG_4297
つまり、あるだけ全部飲んだ。


なんだかとってもオンリーワン。
・徹底的に乾燥した、麹室。
・寒〜い2℃の、発酵室。
・絶対に、地元の米。
・便利を作る、大人の工作。

しかも、2010年、澤姫大吟醸は、
インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)で、
部門最高賞に輝きました。
2015年は、純米吟醸でシルバーメダル受賞の常連。

井上社長の感性満載な世界に浸れるひとときでした。
ありがとうございました!