日本酒の中でも、自然酒という名をご存知でしょうか?
自然酒は、無農薬・無肥料・自然のまま栽培された酒米で醸されたお酒です。
自然酒を醸すこと50年の歴史を持つ、郡山市田村町の仁井田本家へやって参りました。

酒米は、福島県内で8件、宮城県に1件、兵庫県に山田錦1件。
計10件の自然栽培農家さんと契約しています。
田んぼの総面積は、約60町歩。
そのうち6町歩は、高齢の農家さんから買上げや借上げをして、自社で耕作する田んぼです。回覧板等で、近隣農家さんに耕作の引受けをお知らせしているそうです。
地力がつくまでは、お米の収量がなかなか増えないのが自然栽培。
10年前から始めた自社での耕作は、少しずつ収量が増えているそうです。
寒暖の差もあり、湧水が豊富なこの地域。
お米の美味しいところに、あるべくしてある酒蔵です。

社員数はなんと24名。
「酒は健康によくなければならない」という社命は、人ありきの酒造りを感じさせます。
人ありきの思いで醸す酒造りは、被災地復興と農業復興を体現していました。

常務の馬場さんに工場案内して頂きました。
まずは『釜場』から。
ここでの前処理により、最終的な味わい香りの7割が決まるそうです。

「洗米」
上のホッパーからお米を入れて、水と空気で洗います。

No1とNo2で二度洗いします。
「ぬか通る」という商品だそう。

ぬかを落とした後は、最終的なお米のすすぎの機械へ。

奥には、ざる研ぎの道具も。
大吟醸の50%精米は、ステンレスざるで手洗いします。
その後、水色の桶で吸水しすぎないよう2-30秒で浸漬するそうです。

「浸漬」
その他のお米は、こちらの大きなタンクで浸漬します。吸水時間は2-30分。
現在450kgのお米が入っています。

水は下から溜まり、下に抜けるので、
下のお米ばかり吸水しがちになってしまいますが、
タンクの一番の排水ホールをかなり太くしてあるので、一気に水を抜くことができます。
ちなみに、中川製作所の「スカッと中川」という商品で、ローテーションで8個ほど使っているそうです。

昔は円錐タンクだったけれど、今や動ける立方体に。

「米はり」
重量を計りながら浸漬した米を持ち上げて、


甑(こしき)に米を置きます。750kg入ります。


「蒸す」
甑を釜に乗せて、中央から出る108度の蒸気で、約1時間かけて蒸します。

「冷やす」
その後、108→10度まで一気に冷やします。
風で冷やすには、外気の温度が重要なため、冬場のマイナス〜+3度の気温を利用した、寒仕込みが最適です。

蒸米から放冷機への動線が特徴的でした。階段上の2階へ上げる構造。
甑ごと2階へ上げられます。

このパーツを離すと、円形の底が抜けます。

抜けた底は、逆Vの字に折りたたまれて、蒸米が下に落ちていきます。


熱々の米をかき混ぜるパーツはよく見かけますが、

2階から見おろす放冷機は初めてです。

「釜場」(洗う・浸漬・米はり・蒸す・冷やす)でした。
『酛場(もとば)』
アルコール発酵のための、酵母を育てる酒母室へ。
お母さんと赤ちゃんの眠る部屋です。

酵母は雑菌に弱いため、雑菌を繁殖させない工夫として、壁に渋柿のタンニンを塗り込んで、室温6度以下で管理しています。
また、雑菌は酸に弱いため、乳酸発酵で酸っぱくするのも特徴です。
女性の体が酸性なのと似ているかもしれません。

こちらでは「自然派酒母仕込み」を行っています。
・生酛酒母仕込みは、自然酒ブランドに
・白麹酒母仕込みは、スッキリ系の「穏」ブランドに
生酛仕込み用の、かぶら櫂。

さらに、麹室は階段奥の2階左手にあります。

麹室から出て、出来上がった米麹。
デンプンが糖に分解された状態です。

布の下には通気口が。

少し食べてみると、甘すぎない旨みがありました。
こちらは「旬味」という料理酒商品用の90%精米米麹です。
昔は、ひじ米と言って毎日1本のタンクを仕込んだそうですが、今ははんじ米、2日に1本でやっていくそうです。

珍しいことに、タンクの並ぶこの部屋は2階ではなく1階。フラットに入れます。
背の高いタンクが地面に埋まっている感じでした。
タンクに合わせて地下を掘ったのかと思うほどよくできていますが、自然の地形を生かした半地下で、タンクの位置はもともとの低地に置かれているそう。
なんという地の理。2階にトントン登って、タンクを覗き込むことがありません。

こちらは9000Lサイズのタンク。酒500本分です。

サーマルタンクも埋まっています。

大きな蔵にフラットに入れます。

天井の柱も立派です。

「仁井田本家の仕込みは4段仕込み…!!!」
仁井田流奥義を説明されているような。

どうしよう。ついてけなくなってきた。

でも大丈夫。「4段仕込みは、甘口を特徴とするお酒」
そう覚えればOKとのこと。優しい師範でよかった


『槽場』
絞りの方法は3種類ありました。
やぶた式の圧搾機。

槽口しぼりのお酒も店に用意したので、臨場感があります。ここにお酒が入るんですね。

ステンレス製の縦型の船もありました。
もろみを入れた麻袋を横に寝かせて、上から圧縮します。
また、袋吊も行います。
大吟醸の「袋吊しずく酒」1銘柄限定だそう。



火入れは奥の白いタンクの中で。
67度のお湯の張ってあるタンクに、らせん状の蛇管が通っています。その蛇菅にお酒を通すことで、65度で火入れします。
火入れ後にタンク貯蔵して、瓶詰め出荷時に再度火入れする2回火入れが通常品。
12月の「生しぼり」や「穏しぼりたて」は一切火入れなしの「生生」商品です。

お庭も案内してくださいました。

この上が旧街道。とても細い道です。

仁井田本家は、100町歩くらいの周辺の山を持っているそうです。

暴れん坊将軍のめ組の頭領が使うような、火消しの箱。

試飲後、美味しい貴醸酒や甘酒を買って帰りました。
自然酒をベースに使用した、青柚子とオーガニックカクテルを楽しむ会」のブログは▶︎こちら。
ありがとうございました!
自然酒は、無農薬・無肥料・自然のまま栽培された酒米で醸されたお酒です。
自然酒を醸すこと50年の歴史を持つ、郡山市田村町の仁井田本家へやって参りました。

酒米は、福島県内で8件、宮城県に1件、兵庫県に山田錦1件。
計10件の自然栽培農家さんと契約しています。
田んぼの総面積は、約60町歩。
そのうち6町歩は、高齢の農家さんから買上げや借上げをして、自社で耕作する田んぼです。回覧板等で、近隣農家さんに耕作の引受けをお知らせしているそうです。
地力がつくまでは、お米の収量がなかなか増えないのが自然栽培。
10年前から始めた自社での耕作は、少しずつ収量が増えているそうです。
寒暖の差もあり、湧水が豊富なこの地域。
お米の美味しいところに、あるべくしてある酒蔵です。

社員数はなんと24名。
「酒は健康によくなければならない」という社命は、人ありきの酒造りを感じさせます。
人ありきの思いで醸す酒造りは、被災地復興と農業復興を体現していました。

常務の馬場さんに工場案内して頂きました。
まずは『釜場』から。
ここでの前処理により、最終的な味わい香りの7割が決まるそうです。

「洗米」
上のホッパーからお米を入れて、水と空気で洗います。

No1とNo2で二度洗いします。
「ぬか通る」という商品だそう。

ぬかを落とした後は、最終的なお米のすすぎの機械へ。

奥には、ざる研ぎの道具も。
大吟醸の50%精米は、ステンレスざるで手洗いします。
その後、水色の桶で吸水しすぎないよう2-30秒で浸漬するそうです。

「浸漬」
その他のお米は、こちらの大きなタンクで浸漬します。吸水時間は2-30分。
現在450kgのお米が入っています。

水は下から溜まり、下に抜けるので、
下のお米ばかり吸水しがちになってしまいますが、

タンクの一番の排水ホールをかなり太くしてあるので、一気に水を抜くことができます。
ちなみに、中川製作所の「スカッと中川」という商品で、ローテーションで8個ほど使っているそうです。

昔は円錐タンクだったけれど、今や動ける立方体に。

「米はり」
重量を計りながら浸漬した米を持ち上げて、


甑(こしき)に米を置きます。750kg入ります。


「蒸す」
甑を釜に乗せて、中央から出る108度の蒸気で、約1時間かけて蒸します。

「冷やす」
その後、108→10度まで一気に冷やします。
風で冷やすには、外気の温度が重要なため、冬場のマイナス〜+3度の気温を利用した、寒仕込みが最適です。

蒸米から放冷機への動線が特徴的でした。階段上の2階へ上げる構造。
甑ごと2階へ上げられます。

このパーツを離すと、円形の底が抜けます。

抜けた底は、逆Vの字に折りたたまれて、蒸米が下に落ちていきます。


熱々の米をかき混ぜるパーツはよく見かけますが、

2階から見おろす放冷機は初めてです。

「釜場」(洗う・浸漬・米はり・蒸す・冷やす)でした。
『酛場(もとば)』
アルコール発酵のための、酵母を育てる酒母室へ。
お母さんと赤ちゃんの眠る部屋です。

酵母は雑菌に弱いため、雑菌を繁殖させない工夫として、壁に渋柿のタンニンを塗り込んで、室温6度以下で管理しています。
また、雑菌は酸に弱いため、乳酸発酵で酸っぱくするのも特徴です。
女性の体が酸性なのと似ているかもしれません。

こちらでは「自然派酒母仕込み」を行っています。
・生酛酒母仕込みは、自然酒ブランドに
・白麹酒母仕込みは、スッキリ系の「穏」ブランドに
生酛仕込み用の、かぶら櫂。

さらに、麹室は階段奥の2階左手にあります。

麹室から出て、出来上がった米麹。
デンプンが糖に分解された状態です。

布の下には通気口が。

少し食べてみると、甘すぎない旨みがありました。
こちらは「旬味」という料理酒商品用の90%精米米麹です。
昔は、ひじ米と言って毎日1本のタンクを仕込んだそうですが、今ははんじ米、2日に1本でやっていくそうです。

珍しいことに、タンクの並ぶこの部屋は2階ではなく1階。フラットに入れます。
背の高いタンクが地面に埋まっている感じでした。
タンクに合わせて地下を掘ったのかと思うほどよくできていますが、自然の地形を生かした半地下で、タンクの位置はもともとの低地に置かれているそう。
なんという地の理。2階にトントン登って、タンクを覗き込むことがありません。

こちらは9000Lサイズのタンク。酒500本分です。

サーマルタンクも埋まっています。

大きな蔵にフラットに入れます。

天井の柱も立派です。

「仁井田本家の仕込みは4段仕込み…!!!」
仁井田流奥義を説明されているような。

どうしよう。ついてけなくなってきた。

でも大丈夫。「4段仕込みは、甘口を特徴とするお酒」
そう覚えればOKとのこと。優しい師範でよかった



『槽場』
絞りの方法は3種類ありました。
やぶた式の圧搾機。

槽口しぼりのお酒も店に用意したので、臨場感があります。ここにお酒が入るんですね。

ステンレス製の縦型の船もありました。
もろみを入れた麻袋を横に寝かせて、上から圧縮します。
また、袋吊も行います。
大吟醸の「袋吊しずく酒」1銘柄限定だそう。



火入れは奥の白いタンクの中で。
67度のお湯の張ってあるタンクに、らせん状の蛇管が通っています。その蛇菅にお酒を通すことで、65度で火入れします。
火入れ後にタンク貯蔵して、瓶詰め出荷時に再度火入れする2回火入れが通常品。
12月の「生しぼり」や「穏しぼりたて」は一切火入れなしの「生生」商品です。

お庭も案内してくださいました。

この上が旧街道。とても細い道です。

仁井田本家は、100町歩くらいの周辺の山を持っているそうです。

暴れん坊将軍のめ組の頭領が使うような、火消しの箱。

試飲後、美味しい貴醸酒や甘酒を買って帰りました。
自然酒をベースに使用した、青柚子とオーガニックカクテルを楽しむ会」のブログは▶︎こちら。
ありがとうございました!